菅新政権の「行革」とは? 国の「タバコ事業関与」での受動喫煙撲滅は望めない!
『STOP受動喫煙新聞』第33号(冬号・‘21年1月発行)掲載=発行・「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」=https://www.tabaco-manner.jp/
公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事
参議院議員・前神奈川県知事
「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」幹事長 兼 事務局長
松沢 成文
菅政権は、本気で「行政改革」をやる気があるのでしょうか…?!
私は菅新総理の就任後、初めてとなる11月6日の参議院予算委員会で質問に立ち、〝国の特殊会社〟である「日本たばこ産業株式会社(JT)」の、完全民営化を迫りました(※)。
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行政改革について伺いたいのですが…(中略)、タバコ利権について、タバコというのは市場で取引されている完全な商品です。まあ、健康に悪い、普通の商品より害があるんですけれどもね。このタバコというものを、国が関与して事業を行う、公益性・公共性は、私はもう全く見出せない、と思います。
このことは今までの予算委員会で、私は麻生大臣に何度も質問してきました。すると麻生大臣はこう答えるんですね。
「タバコ農家を守らなきゃいけない」「たばこ税と株式配当による収入、大事じゃねえか」と。
「だからJTは民営化できないんだ」と言うんですね。何か既得権(きとくけん)丸出しのような答弁ですけれども、実はそのJTも、〝民営化してほしい、もっと自由にやらせてほしい〟と言っているんですよ。
総理、財務省に改革言っても絶対やりません。さあ、行革を目指す総理として、「たばこ事業法」廃止、「JT法」廃止、そしてJTを「完全民営化」すべきだと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。
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〝既得権〟答弁の繰り返し
しかし? 菅総理は答弁を逃げて、座ったまま動きません。代わりに麻生財務大臣が答弁に立ちましたが、またもや、「タバコ農家を守らなければ」「たばこ税は地方の財政収入、大きな財源」「小売店の経営の安心・安定」「販売価格と小売価格の認可制を定めておりまして、タバコだけ高くするというのは、外国はどこでもやっていますけど、日本ではできない」などと、前回と同じ既得権益擁護の答弁を繰り返すのみでした。
そこで私は、
「小売店を守れ? 農家を守れと? じゃ、他の農家はどうなんですか。農業の自由化の中で、みんな競争して頑張っているじゃないですか」
「たばこ税は、JTが民間会社になっても、ちゃんと納めるんですよ。JTだけが税金納めているんじゃないですよ。そんな基礎的な知識も分からないんですか?」
「たばこ税が減るなんていうのは、関係ないんです。もうちょっと勉強していただきたいと思います」
と麻生大臣を厳しく糾弾(きゅうだん)しました。
タバコ事業に政府が関わる恥ずかしい国
タバコ会社を半国営で抱える国は、OECD諸国(先進国)では日本のみです。タバコ事業に政府が関与している国は、日本以外には中国と北朝鮮があるくらいです。この国は本当に恥ずかしい限りです。
日本のタバコ事業は、タバコ利権そのものです。すごく大きな行政改革として、政府の現業(行政による経営)で、民間でできるものは民営化すべきです。しかし菅総理からは、そういう政策が全く出てこない。こんな当たり前の改革もやらずに、「行政改革政権」だというのは、おこがましい限りです。これでは、とうぜん受動喫煙対策も進まず、先進諸国で最も禁煙化が遅れているままになるのが目に見えています。
私は国会議員として、引き続き、国民の健康を守るため、タバコ利権という〝日本最後の巨大利権〟と闘い、受動喫煙撲滅に邁進(まいしん)してまいりますので、皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。
(‘20年11月26日記)
※この予算委員会での質疑の様子は、私の公式サイトやユーチューブ『松沢しげふみ!チャンネル【公式】』(20201106参議院予算委員会質疑「たばこ利権」)で動画をご覧いただけます。
予算委員会、質疑を行う筆者(右側手前から二人目)
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