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『STOP受動喫煙新聞』第46号(’24年4月発行)掲載=脱法的営業が常態化する「喫煙目的店」③=タバコ販売を容易にし、手続きをタバコ会社にさせている法の矛盾

脱法的営業が常態化する「喫煙目的店」③

タバコ販売を容易にし、手続きをタバコ会社にさせている法の矛盾

公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事

前神奈川県知事・参議院議員

「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」幹事長 兼 事務局長

松沢 成文

=発行・「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」= https://www.tabaco-manner.jp

「脱法的営業が常態化する『喫煙目的店(施設)』」の連載第3回目、今回は、「タバコの『対面販売』という条件」の問題点を取り上げます。

あらためての確認ですが、’20年4月に全面施行された「改正健康増進法」では、施行以前に開業していた小規模の飲食店なら、店内飲食席での喫煙可能営業を継続できますが、施行以後に新規開業した一般飲食店は、必ず禁煙店としなくてはならないことになっています(※)。

しかし、「喫煙目的店」として開業すれば、新店でも、店内すべてで飲食しながら紙巻タバコも喫煙できるという〝抜け道〟が用意されました。

「飲食目的店」は除外

ただし、同法第二十八条で「喫煙目的店」は、〝屋内において喫煙をする場所を提供することを主たる目的とし、併せて飲食をさせる営業を行う施設〟と定義されています。つまり同法の改正時点から、あくまでもこの「喫煙目的店」は、シガーバーなどの「喫煙」を主な目的とした施設のことを指し、「飲食等」を主な目的とした普通のお店は該当しないとしているのです。

「喫煙目的店」の条件

そこで同法は、〝飲食目的店〟ではない条件として、①主食を出さない、②タバコの対面販売を行う、③表示を正しく行う、ことを定めています。しかしそれぞれに問題点・違反があり、前回その①について解説しました。

「タバコ販売」の条件が容易になっている

喫煙目的施設の条件の二点目は、「タバコの対面販売」を行うことを義務としていますが、しかし、これについては、主に次の2つの問題点が挙げられます。

一つ目は、店が「タバコの小売販売業」の許可を取らなくても、他のタバコ販売店による「出張販売」の許可でよいとしていることです。

タバコの販売には免許が必要ですが、店舗の近くにすでにタバコ販売店があるような場合には許可がおりないこともあり、一般的に新規の許可取得は難しくなっています。しかし、「出張販売」の許可なら、すでに許可を取得している店舗=タバコ販売店から業務委託を受けることで、比較的容易(ようい)に取得できるのです。ネットで検索すれば、許可申請を代行する業者もたくさん見つかります。

この点については、本来は「喫煙目的施設」自体例外的な位置づけである以上、「出張販売の許可」は認めず、「小売販売の許可」に限定しなければ、制度の本来の趣旨に合致しません。

JTが代行する「利益相反」

二つ目の問題は、喫煙店舗へのコンサルティング(相談対応・支援)を行っているJT(日本たばこ産業㈱)が、許可の「申請受付」と、「調査業務」も行なっていることです。

JTは、「分煙コンサルティング」と称して、喫煙営業を希望する店舗に無償で出張販売の許可取得のアドバイスを行なっており、その一環として、出張販売の業務を委託する小売販売店の紹介までしています。

問題なのは、喫煙目的施設になることを支援しているJTが、アドバイスにとどまらず、出張販売の許可申請の受付窓口となっており、そして、販売場所の設備や外観などの、審査に必要な調査まで行なっていることです。

この申請受付・調査業務は〝財務大臣から委任を受けた事務〟となってはいるものの、「申請の立場」と「審査する立場」の双方にJTがかかわるのは、〝利益相反〟にあたり、手続きの公正性に疑いがもたれます。甘い調査で、条件を満たさない喫煙目的店が安易に認められる可能性があり、そうなってもチェックできないのです。

この点については、小売販売業・出張販売業ともに、タバコ販売許可申請の受付と調査を含め、JT等タバコ会社の関与を禁止し、財務省自らが行うように見直すべきです。

次回は、このテーマの最終回、「喫煙目的店であることの表示行為」と、総括についてお話していきます。

(’24年3月18日記)

※「禁煙店」でも店内に「喫煙専用室」は設置可(飲食不可。ただし「加熱式たばこ専用喫煙室」は飲食可)。

’24年3月21日、「参議院消費者問題に関する特別委員会」で加熱式タバコについて質問をする筆者

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