東京五輪招致と受動喫煙防止条例
<『STOP受動喫煙新聞』第3号(2012年7月)=発行「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」掲載>
公益社団法人受動喫煙撲滅機構理事
前神奈川県知事
筑波大学客員教授
松沢成文
いよいよロンドンオリンピックが始まります。いうまでもなく、オリンピックは世界最大のスポーツイベントで、経済社会に大きな影響を与え、人々に大きな感動を与えてくれます。
さて、東京が2020年のオリンピックの開催地に立候補しているのは皆さんご存知でしょう。2016年に次いで2回連続の立候補です。今回は東京有利といわれていますが、そう簡単にいきそうにはありません。そこには大きなハードルがいくつもあります。
実は、WHO(世界保健機構)とIOC(国際オリンピック協会)は「タバコのないオリンピックを目指す協定」を結んでいるのです。スポーツの祭典であるオリンピックは、健康的な環境で開催されなければなりません。そのためにオリンピックにおける禁煙方針を採択し、会場の禁煙化のみならず、タバコ産業によるスポンサーシップも拒否しています。つまり、オリンピックのスモークフリー化を求めているのです。
オリンピック招致に向けた東京の大きな弱点の一つは、すべての飲食店および宿泊施設を含めた公共的施設を対象とした罰則付きの受動喫煙防止条例が、まだ存在していないことではないか、と私は危惧しています。
これまでのオリンピック開催都市であるバルセロナ(1992)、アトランタ(1996)、シドニー(2000)、アテネ(2004)、北京(2008)、ロンドン(2012)には、全て罰則付きの受動喫煙防止条例(法)が存在しています。あのタバコ天国の中国でも、北京五輪開催前に条例をつくりました。
さらに、2020年のオリンピック招致に立候補している東京以外の都市、つまりマドリード(スペイン)、ドーハ(カタール)、イスタンブール(トルコ)にも、いずれも受動喫煙防止条例が制定されています。
このような国際情勢を踏まえますと、東京が2020年の五輪開催を勝ち取るためには、WHOやIOCが求めている国際標準の受動喫煙防止条例を制定することが非常に重要です。これは五輪招致の絶対条件ではありませんが、必要条件だと思います。
それでこそ、都民のみならず、世界中から集まる人々の健康を保護できるからです。東京オリンピックの招致を確実にするために、東京都は今こそ受動喫煙防止条例を制定する決断が求められています。