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三位一体改革は一から出直せ

<『Voice』2005年7月号掲載>

平成十六年十一月二十六日、政府と与党は平成十八年度末までの三位一体改革の全体像について、すったもんだの議論の末、ようやく合意にこぎつけた。しかし、その内容は、小泉総理の要請を受けて地方六団体(全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会)が提示した改革案からは大きく乖離した、とうてい地方分権推進のための税財政改革とは言い難い、はなはだ不十分なものだった。地方六団体は、所得税から住民税への税源移譲というかたちで改革が動き出したことから 二歩前進」として仕方なく受け入れたが、不満足極まりない結果であった。
具体的に、地方として受け入れ難い理由は、次の三点に集約される。
まず第一に、地方案がほとんど反映されていないことだ。そもそも国庫補助負担金については、三兆円の廃止縮減リストを国(所管省庁)では作成できないと判断した政府が、地方六団体に作成を要請したのである。そのため、これを受けて地方自治体が、大激論を経て自ら三兆二○○○億円分の具体的な「補助金返上リスト」をまとめ、「地方案」として提出したのである。にもかかわらず、「政府・与党合意」では二兆八○○○億円しかなく、しかも地方案からは、項目数で約三割、総額で一兆七○○億円分しか採用しなかった。
二点目は、この二兆八○○○億円の内容が大問題である。①今回最も大きな争点となった義務教育費国庫負担金の廃止八五○○億円は、結論を今後の中央教育審議会に先送りし、その場しのぎの暫定措置とされた。②また、国民健康保険については、七○○○億円もの都道府県の負担が何の協議もなく一方的に盛り込まれた。③そして、公共事業などは、国に配分権限など裁量権が残る「父付金」へのくら替え分六○○○億円が含まれている。これでは、地方の裁量が拡大しない、数字合わせのきわめていい加減なものだといわざるをえない。
さらに三点目は、税源移譲もきわめて不十分なことだ。地方への税源移譲は、
「概ね三兆円規模をめざす」としながら、実際には二兆四○○○億円程度にすぎず、六○○○億円は先送りされたのである。しかも、これは前年度までに決定した六五○○億円も含めたもので、今回の二兆八○○○億円の補助金廃止縮減に対応するものは一兆七五○○億円でしかない。これでは、廃止縮減額が圧倒的に多く、国の財政再建のために地方が犠牲になっている構図が明らかである。
以上が「政府・与党合意」の実態である。これでは、地方分権の推進という理念を無視した、各省庁と族議員による妥協の産物であって、地方自治体の自由度を増す真の税財政改革とはなりえない。
なぜ、こんなにもいいかげんな改革が進められようとしているのか。本稿では、三位一体改革における各省庁と族議員の身勝手さを明らかにするとともに、改革の原点に立ち返って現状を厳しく問い直し、軌道修正するための方策を示したいと思う。

迷走する難解な改革

一昨年来の三位一体改革をめぐる国と地方の闘いについて、多くの国民の皆さんには、国と地方がそれぞれの言い分を勝手に主張し、自らの利益のために必死に税財源を奪い合っているとしか見えなかっただろう。しかし、この闘いは、地方分権を推進するために改革をめざす地方に対し、国が屍理屈をつけ抵抗しているだけだということを知ってほしい。
私がなぜここまで言い切れるのか。それは、三位一体改革の本来の意義を振り返れば、おのずと明らかとなるのである。まずは地方分権改革十年間の経緯を見ていただくことが必要だ。
平成五年六月。衆参両院で国会の歴史上、画期的といわれる「地方分権の推進に関する決議」がなされた。これは、中央集権的行政を問い直して地方分権を推進するために、国の権限と財源の地方移譲を大胆に進めるといった抜本的な改革に、国会と政府、そして地方がともに全力を尽くすことを、全国会議員の賛成により決議したものだ。このとき地方分権の推進は「国是」となったのである。
ここに、明治時代より連綿と続いてきた「中央集権型の仕組み」を「地方が自己責任で自己決定する分権型の仕組み」に転換するという、まさに、国のかたちを変える一大改革がたしかな第一歩を踏み出したのである。そして、こののち、けっして平坦な道のりではなかったが、平成十二年の「地方分権一括法」に基づく「機関委任事務の廃止」へと着実に進んでいった。
「機関委任事務」とは、知事や市町村長を国の下級行政庁と位置付けて国の事務を処理させる制度であり、なんと都道府県事務の七〜八割を占めていたのだ。まさに中央集権型行政システムの中核をなす制度であり、当然、この廃止には各省庁が激しく抵抗した。しかし、地方分権推進委員会の粘り強い折衝と、何より、地方分権を進めなければこの国の未来はないという改革へのエネルギーによって、ついに地方は法的に国と「対等」の関係を勝ち得たのである。ここまでが、地方分権改革の第一ラウンドといえよう。
そして 第ニラウンドである。平成十三年六月 地方分権推進委員会は、「次の段階の焦点は、地方税財源の充実だ」との最終報告を行なって解散した。地方分権は、権限と財源の移譲がそろって初めて実効あるものとなる。「仕事の分権」が完了したあとは、残された改革=「財源の分権」に進むのは当然であり、税源移譲に向けて改革が進むものと関係者の期待は大いに高まった。
しかし、平成十三年一月に、総理を議長とする「経済財政諮問会議」が設置されて、政府による構造改革はとの諮問会議での合意を前提に展開されることとなってから、この地方分権改革の流れは複雑になってきた。
当時、この諮問会議は、経済の再生と国家財政の再建という二点を大きな論点としていた。当然、国家財政の破綻という危機を回避したい財務省の意向が強く反映される。平成十三年の「骨太の方針二○○一」では、国庫補助負担金と地方交付税の縮小ばかりが強調され、税源移譲にはほとんど触れない内容であった。これに対し、地方分権を推進する立場の総務省が巻き返しを図った。翌平成十四年、国税と地方税とを一対一にすることをめざし、当面五・五兆円の税源移譲と同額の国庫補助負担金の削減を進めるという「片山試案」を打ち出したのだ。
この年、総務省ど財務省とのあいだに繰り広げられたパトルは壮絶であった。税源移譲が先か地方歳出の抑制が先かの激論を経て、平成十四年の「骨太の方針二○○二」に、ついに「国庫補助負担金の廃止削減」「税源移譲」「地方交付税の見直し」を一体として行なう「 三位一体改革」が盛り込まれた。しかし、けっして議論が整理されたわけではなく、「地方分権の推進」という大きな流れに「国家財政の再建」という第二の流れが混入し、「三位一体改革」の名で、辛うじて方向が示されただけのものであった。三位一体改革に具体的な内容を備えたのは、平成十五年の「骨太の方針二○○三」である。これは、「平成十八年度までに 国庫補助負担金を四兆円削減する」という具体的な数値目標が示された画期的な方針であった。ととろが、二○兆円ある国庫補助負担金のなかから削減する四兆円をリストアップするという難題に直面して、政府はフリーズしてしまった。原因は、国庫補助負担金の廃止削減方針によって既得権益を奪われることとなる「各省庁」と「族議員」の抵抗である。彼らは、あらゆる手法で廃止を先延ばししようとした。いくら小泉総理に命じられても、各省庁は具体案を提出できなかったのである。これ以降、「各省庁」と「族議員」の存在は、第三の流れとなって三位一体改革を翻弄しつづけ、改革を一層複雑で分かりにくいものにしている。
こうした軒余曲折を経て、平成十六年の「骨太の方針二○○四」では、「三兆円の補助負担金改革は、地方団体に具体案をまとめてもらう」という方針が盛り込まれた。これが、本稿の冒頭に述べた「地方案」の出発点である。
現在の三位一体改革がなぜこんなにも分かりにくいものになってしまったのか、その一端はこれでお分かりいただけたものと思う。

三位一体改革が真にめざすもの

ここで、これまでの経緯を踏まえ、三位一体改革に求められる本来の意義と真にめざすべきところを整理してみよう。
一点目は、人為の価値観が多様化した成熟社会にあって、国民がゆとりと豊かさを実感するためには、地方分権型の国家の実現が不可欠であることから、三位一体改革は、まず地方分権を推進する改革でなければならないということだ。したがって、地方自治体が、真に住民に必要な行政サービスを自己の責任で決定し実施できるように、歳入・歳出両面での地方自治体の自由度を高める税財政改革、とりわけ税源移譲のための改革でなければならない。
二点目は、地方分権の推進が国・地方を通じる簡素で効率的な行政システムを構築する方途であることを忘れず、この観点で改革に取り組まなければならないということである。財務省は、地方交付税の削減と税源移譲の規模縮小で国家財政の再建を図ろうとしているが、それでは小手先の改革にすぎない。地方分権を進め、住民が受益と負担の関係から最も効率的な社会を選択できるようにすることこそ、「究極の財政再建策」なのである。現在は、財務省と地方は真っ向から対立しているが、国・地方を通じた「小さな政府」を志向していることでは一致している。今後、両者が三位一体改革にも同一のスタンスで臨ある可能性はあるだろう。
三点目には、三位一体改革は、国庫補助負担金を廃止する千載一遇のチャンスであり、もし今回の改革で廃止できなければ、永久に存続してしまうかもしれないことを踏まえて取り組まなければならないということだ。
国庫補助負担金は、国が一律の基準で配分するという性格上、個々の地域の特性に合わせた仕組みにはなりえず、必ず無駄が生じる制度である。また、省庁ごとに恣意的に財源を地方へ配給する仕組みであるから、縦割りの弊害が付きまとい、横の融通を欠いた非効率な制度である。一方、地方にとっては「もらわなければ損」であり、財政のモラルハザードも引き起こす。また、国は、補助金配分のために大きな組織と多数の国家公務員を要する。そして、陳情行政や補助金申請事務などが解消されず、政官業の癒着や利益誘導型政治システムの土壌を生み、日本の古い政治構造の温床となっている。このように、国庫補助負担金の問題点は数限りたいし、根深いものがある。
もちろん、国庫補助負担金を守ろうとする側もいろいろな理屈を出してくる。たとえば、小・中学校教員の給与の二分の一を国が負担する「義務教育費国庫負担金」の廃止についても、教育の水準を確保できないとか、教育を保障するのは国の役割だといった反対論が根強い。
義務教育の一定の水準を全国的に確保し、教育を保障することは当然である。地方の側も教育の水準を引き下げようなどと思ってはいない。だが、確保すべきなのは、「教育費の支出水準」ではなく「教育の水準」である。これは、教員給与の二分の一を国が負担しなくとも法律に水準を定めることで達成できる。そのうえで、各地域が議論をし、自らの財源で、実情に合わせた取り組みを行うことで、地域に根ざした特色ある学校教育を実現でき、住民の自治も生かされるのである。

改革の仕組みに問題あり

以上のとおり、三位一体改革がめざすべきところは明確である。しかし、現実にはなぜとの方向に進まないのか。以下、その原因を考察し、何点かに整理してみたい。
まず一点目は、これまでの経緯で明らかなように 中央官僚や一部の国会議員からは「地方分権は国家目標である」という意識が完全に欠落していることである。じつは、現在の閣僚はほぼ全員、先に紹介した平成五年の地方分権推進の衆参両院決議当時も国会議員であり、当然決議に賛成している。それにもかかわらず、省庁の大臣となったいま、省庁の権益を守るために 地方分権の推進に反するさまざまな方策や地方への負担転嫁を平気で打ち出してくるのは、いったいどういうことなのだろうか。
「補助金廃止リスト」をまとめた地方も、初めから一枚岩だったわけではない。地方自治体は人口規模や地勢によって千差万別であり、たとえ税源移譲がなされても、一つの補助金の削減にはどこかの自治体の苦しみや痛みが伴う。しかし、それを乗り越えて日本の国のかたちを変えないと、日本は行き詰まってしまう。地方は、地方分権を進めて日本を再生させなければならないという危機感をもったからこそ、小異を捨てて大同についたのだ。国家を直接支える国会議員と中央官僚にこそ、そういう大局観と志をもっていただきたい。
二点目は、省庁と族議員の抵抗である。地方六団体が「補助金廃止リスト」を発表して以降、中央官僚と族議員という、既得権益を捨てきれない集団がすさまじいパワーをもっていることが、あらためて浮き彫りになった。ある省庁は、出先機関を使って地方議会に補助金存続を求める意見書の採択を迫ったり、関連団体の「首長アンケート」を使って制度堅持の結論を誘導したりした。
また、ある省庁は、関係する著名人を総動員してキャンペーンを張った。正直にいって「ここまでやるのか」とあきれ果てたものだ。国庫補助負担金という省益を前にすると「省あって国なし」となることも明らかになった。ここまで来ると、どう見ても霞が関と永田町が一体となって事あるごとに改革を拒み、権益維持を目的化しているとしか思えない。
三点目は、国民に三位一体改革が周知・理解されていないことである。もともと財政制度が中心の改革であり、複雑で分かりにくい改革であるが、先に述べたように、政府、地方自治体、各省庁、族議員が入り乱れてさまざまな主張をするものだから、国民は何が正しいのか分からなくなってしまう。各省庁の煽動によって改革の趣旨を誤解した住民からは、補
助金廃止によって行政サービスが得られなくたり、それは困るという反対運動が起きた。補助金廃止の本質は「国庫補助負担金の地方財源化」なのだと国民に理解してもらわなければならない。
さらに、税源移譲や地方交付税の見直し、そして地方分権の必要性についても同様である。これらはすべて国民生活に直結する問題であり、地方自治の将来を決定づける。最後の判断は国民の世論に委ねなければならないのであるから、改革を正しく理解してもらうよう、国、地方ともに全力を挙げる必要がある。
四点目は、いまだに第二期改革の必要性、国庫補助負担金の廃止規模、税源移譲の最終規模や時期など、三位一体改革のゴールや全体の行程が明らかでないまま、無計画でなし崩し的に「改革」が進められていることである。
地方六団体は、今回の平成十八年度までの改革を「第一期改革」とし、三兆円の税源移譲を実現したのちの「第二期改革」として、地方消費税を中心に四兆円を超える税源移譲を求めている。さらにいえば、税源移譲の問題は、国と地方の税源配分がその仕事量に見合っていないという根本の問題から発生しており、究極にはそのアンバランスを解消できるまで改革しなければならない。そういう全体の見通しをもって、改革を計画的に進めていく「仕組み」をつくらなければならない。
五点目は、改革の内容が国によって一方的に最終決定されてしまう仕組みだということである。三位一体の改革は、国と地方の二者の立場や利害が背反しうる課題であるにもかかわらず、一方の当事者である国が実質的な最終決定権をもったまま改革が進められている。「政府・与党合意」においては、生活保護、児童扶養手当、公立文教施設の国庫補助負担金や、建設国債の対象経費である施設整備費の問題など、重要課題は先送りされたまま残っている。
これらの課題については、今後、省庁が設置した審議会等において、省庁のペースで検討を進めてしまうのではないかという懸念がある。また、今後、地方六団体が課題別の改革案を出したとしても、国の側にも違う考え方がある以上、当然、平行線になってしまい、最後は最終決定権を握る国に寄り切られ、改革が頓挫してしまう可能性が高い。

三位一体改革推進法を制定せよ

さまざまな問題点を指摘したが、私は、これらの問題を解決し、現在の三位一体改革を本来の地方分権推進のための地方税財政改革へと転換し、安定的・継続的に推進するための具体的な方策として「(仮称)三位一体改革推進法」を策定し、その枠組みの下で、改革を計画的に進めていくべきだと訴えている。すでに「全国知事会」や「二十一世紀臨調」にも提案し、その検討のための素材として「(仮称)三位一体改革推進法要綱試案」という法律の骨子案も提出している。
その具体的な内容は、「改革推進計画の策定」「協議の場の設定」「中立的な調査・審議機関の設置」の三つの仕組みを設け、これを相互に関連させるというものである。
第一は、法定計画として改革の全体像を示す「三位一体改革推進計画」の作成を政府に義務づけることである。これは、三位一体改革を、先の見えない「場当たり的な改革」としないため、また、「地方への負担転嫁」をさせないために、改革の全体像とめざすゴールを明らかにすることを目的としている。時限立法とし、集中的・計画的に改革に取り組むべきである。
第二は、地方六団体の代表と関係閣僚が法に基づき協議する場として「三位一体改革推進協議会」を設置することである。すでに、平成十六年九月以降、任意で「国と地方の協議の場」が設置されているが、これを法制化することで、安定的・継続的に協議・運営することができる。
また、前項の推進計画を策定する場合には、この協議会の合意を得ることを義務づけるべきだ。教育にしても福祉にしても、これまでの動きを見れば、国と地方は、今後も意見がぶつからざるをえないが、現状の仕組みでは国側に押し切られてしまうことは明らかだ。これまでの三位一体改革は、地方分権をめざす改革でありながら、土俵の上で相撲をとるのは閣僚と族議員、言い換えれば政府と与党だけで、地方自治体は土俵の外からヤジを飛ばすことしかできなかった。新しい土俵をつくって、しかも次に述べる中立的な第三者機関という行司を置いて、地方団体もその上で相撲をとらなければ勝負にならない。
第三は、法に基づく第三者機関として「三位一体改革推進委員会」を設置することである。中立的な立場で改革のあり方について調査・審議し、政府に意見・勧告する第三者機関である。改革全般はもちろん、税財源配分の大前提となる「国の責務」「国と地方の役割分担のあり方」といった本質的な問題についても審議できるよう、省庁ごとの諮問機関とは離れた「第二次地方分権推進委員会」のような機関が望ましい。中央省庁や地方自治体が、国民の前でそれぞれの考え方を申し述べる公開の場となることも期待している。そしてこの委員会のトップには、カリスマ性があり国民の信頼を集められる大物を抜擢すべきである。「第二臨調」の土光敏夫氏のような方がふさわしい。任命権者となる小泉総理の政治センスが試されるところだ。
このような法律を制定することによって、三位一体改革は、質的に大きく転換していくことが期待できる。まずは、国の財政再建優先でなく、地方税財源の充実確保方策を主体とする「地方分権推進のための改革」への転換である。また、国主導の改革や役所同士の綱引きではなく、住民サービスの現場を担う地方自治体が対等の立場で参加し、住民の利益を優先する「住民本位の改革」への転換である。さらには、先の見えない場当たり的な改革ではなく、国と地方が目的や手順などの全体像について合意したうえで、時限立法のなかで集中して改革に取り組む「計画的な改革」への転換が期待できるのだ。
そのうえとの立法により、三位一体改革の理念、国と地方の責務等を広く示し、国民にその重要性を周知することができ、世論を喚起できる。加えて、現在の国と地方自治体の協議の場に法的根拠を与えることで、政権交代等にかかわらず安定的な運営が期待できるのである。
三位一体改革は、今後の国民生活、地方自治の根本を左右する重大な改革であり、何としても実現しなければならない。そうした意味からも、国民や地方自治体は政府に対して推進法の必要性を主張し、法の制定を迫るべきだと考えている。ぜひ、全国知事会だけでなく地方六団体が共同して、国会や政府に法制化を要請することを期待している。そして推進法に基づき、「真の三位一体改革」を進め、確実な成果を勝ち取らなければならない。私もそのための闘いに全力を挙げる覚悟である。

最後に

私は、そもそもこの「三位一体」という言葉を好まない。名前を聞いても内容や理念が伝わってこない。これが、国民にこの改革が分かりにくいといわれる原因の一つではないだろうか。本稿では一応従来の名称を使用したが、この際、「地方税財政自立改革」「国と地方の税財政改革」といった名前に変えて一から出直してはどうだろうか。

三位一体改革推進法の要点
一  法律の目的と基本理念
二  国及び地方自治体の責務
三  推進計画の策定
四  関係閣僚と地方団体代表による推進協議会の設置
五  有識者による推進委員会の設置
六  五年間の時限立法

 

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