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【二宮尊徳の成功哲学】シリーズ第13回 二宮尊徳の「金言」七選

二宮尊徳の「金言」七選

松沢成文

 

 これまで、二宮尊徳を師と仰いだ渋沢栄一などの財界人の事績を中心に紹介してきたが、今回は、彼らが拠りどころとした「尊徳の訓え」を選りすぐってお届けしたい。

 

1 小事をおろそかにすれば、大事を成すことはできない

 大事を成しとげようと思う者は、まず小事を努めるがよい。大事をしようとして小事を怠り、できないできないと嘆きながら、行いやすいことを努めないのは小人の常である。およそ小を積めば大となるものだ。一万石の米は一粒ずつの積んだもの、一万町歩の田は一鍬(くわ)ずつの積んだもの、万里の道は一歩ずつ重ねたもの、高い築山ももっこ一杯ずつ積んだものなのだ。だから小事を努めて怠らなければ、大事は必ず成就する。小事を努めずに怠る者が、どうして大事を成し遂げることができよう。

 

2 富者の道は分度を立てること

 一年の気温に寒暑があり、昼夜の長さには長短があり、国には盛衰があり、家には貧富があり、作物には豊凶があるが、寒暑や昼夜の長短を平均すれば春分や秋分の節となるように、盛衰・貧富・豊凶を平均すれば中正で自然の数を得る。

 その中正で自然の数にもとづいて家や国の「分度」を立てるのだ。これこそ土台石ともいうべきものであって、これを守れば家も国も衰退や窮乏の恐れはない。これがわが道を行う方法の根本である。

 

3 遠くをはかるものは富む

 遠い先のことを考える者は富み、目先のことばかり考える者は貧す。遠い先のことを考える者は、百年後のために松や杉の苗を植える。まして、春植えて秋実るものなど当たり前だ。だから富裕でいられる。

 ところが、目先のことばかり考える者は、春植えて秋実るものさえ、まわりくどいと言って植えないで、ただ眼前の利益に迷って、蒔かずに採り、植えずに刈るようなことばかりに眼をつける。だから貧窮するのだ。

 

4 天地人、三才の徳に報いる 

 わが道は徳に報いるにある。徳に報いるとは何か。それは天地人三才の徳に報いるにある。三才の徳に報いるとはどういうことか。

 四季がめぐり、万物が生滅してやむことがないのは「天の徳」だ。草木や穀物が生じ、鳥類や魚類が繁殖し、人をして生命を養わせるのは「地の徳」である。 

 祖先が人道を設け、王侯が天下を治め、家老や武士が国家を守り、農民が農業に勤め、工人が大小建築物を作ったりして、人生を豊かにしているのが、「人の徳」である。

 人が世にいる以上、三才の徳に拠らないものはない。ゆえに、わが道では、三才の徳に報いるを本とするものである。

 

5 知識があっても行わなければ事ばならぬ

 書物を読んで実行しない者は、鍬を買って耕さないのと同じだ。耕さないのなら、鍬を買う必要はないであろう。行わないならどうして書物を読む必要があろう。読書と実践を相まつことは、織物が縦糸と横糸とあってできあがるのと同様である。読書は縦糸であって実践は横糸である。縦糸があって横糸がなければ、織ることはできない。織らなければどうして絹や布ができよう。実践がなければ、どうして家をととのえ、国を治め、仕事が成就できようか。

 

6 売って喜び、買って喜ぶ

 商売の仕方は、売って喜び買って喜ぶようにすべきだ。売って喜び買って喜ばないのは道ではない。買って喜び売って喜ばないのも道ではない。また、貸借の道も同様に、借りて喜び貸して喜ぶようにすべきだ。借りて喜び貸して喜ばないのも道ではないし、貸して喜び借りて喜ばないのも道ではない。百事すべてそうなのだ。

 

7 善心がおこればすぐ行う

 朝な夕なに善を思っていても、善事をしなければ善人とは言えない。悪事をしなければ悪人といえないのと同じだ。だから、人は悟道治心の修行などに暇を費やすよりは、小さい善事でも身に行うのが尊いのだ。

 善心がおこったら、すぐさまこれを実行に現すがよい。親のある者は親を孝養するがよい。子弟のある者は子弟を教育するがよい。飢えた人を見て哀れと思ったらすぐに食物を与えるがよい。

 それゆえ、わが道は実地実行を尊ぶ。およそ世の中のことは、実行によらなければ成就しないものだからだ。

 

 尊徳の改革理念である「至誠」「勤労」「分度」「推譲」の実践の中から生まれた金言には説得力がある。今を生きる私たちにも参考になるものばかりだ。

 

【出展:拙著『二宮尊徳の遺訓』(ぎょうせい刊)】

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