提言『横浜・神奈川バイリンガル都市構想』
横浜・神奈川バイリンガル都市構想
国際化・グローバル化が進展する経済・社会の中で、日本の最大の弱点は英語力(の欠如)であることは論を待ちません。一方で、国際港湾都市としての歴史と文化を誇る横浜・神奈川は、日本の英語ビジネス・英語教育の発祥地として知られています。
今後、この横浜や神奈川が、日本そしてアジアの先進都市として発展していくためには、英語力を充実させ、日本初のバイリンガル都市、つまり、英語が通じる、英語が使える街に大きく変革するという挑戦が不可欠であると私は考えています。
国際語となった英語
日本国である以上、日本語が母国語であり、常用語であることは当然です。そして、日本語は日本文化の源であり大切にすることは大前提です。しかし同時に、国際語となった英語は世界中で流通しており、英語でのコミュニケーションが可能な街=横浜・神奈川を実現できれば、世界中からより多くの人々が集い、交流し、文化が生まれ、ビジネスが起こり、新しい価値を創造できるに違いありません。
今、国際化・グローバル化の進展は、IT化やデジタル化と相まって、とどまるところを知りません。その基本言語は、国際共通語となった英語です。EUやASEANなどの国際会議でも、英語でのコミュニケーションが常態化しています。国際的なスポーツ大会や文化イベントでも英語が共通言語として流通しています。日本企業でも、楽天、日産、ユニクロなどでは英語を社内公用語として活用しています。さらに、お隣りの台湾でも英語を第2公用語に向けて政府内に推進委員会を設け、国際化に対応しています。
私は日本がそして横浜・神奈川が、今後、国際社会の中で発展を目指すには、政治・行政がリードし民間と連携して英語力を強化することが不可欠の要件だと考えています。
横浜・神奈川の歴史・文化を活かせ!
幕末の開港以来、日本の文明開化や近代化を牽引してきた横浜・神奈川は、日本の英語教育や英語ビジネスの発祥地です。明治の偉人といわれる高橋是清(元首相)も、福澤諭吉(啓蒙思想家・教育者)も、岡倉天心(日本美術界の開祖)も、横浜開港場で英語を学び、世界に羽ばたき、日本を変革していきました。幕末にはイギリス軍が、太平洋戦争直後にはアメリカ軍が横浜に駐留し、地域住民との英語での様々な交流によってユニークな横浜文化を生み出してきました。
この素晴らしい歴史と伝統を活かして、横浜・神奈川で英語を第2公用語とするバイリンガル都市構想を推進していきます。その中核となるのが、「英語ビジネスパーク」と「英語テーマパーク」です。(これらについては別途紹介します)
この構想を推進していけば、多くの国際企業が集積し、観光客も加えて英語を身に着けたい多くの人々が集まってくるに違いありません。横浜・神奈川で育った子どもたちがバイリンガルになっていきます。横浜・神奈川の地域経済の活性化と人口増加にも繋がっていくことでしょう。これこそが、横浜・神奈川の成長戦略です。
英語は習うより慣れろ!
多くの人々が英語のコミュニケーション能力を身に付けるためには、習う・学ぶだけではダメです。英語に慣れる、つまり、都市生活の中で常に英語と接し、使う環境を整備しなければなりません。
この変革を実現するために、横浜あるいは神奈川を「英語第2公用語推進特区」として位置付けます。その中で、英語を教育・学習という教育政策としてとらえるだけではなく、日常生活や仕事の中で使う道具(コミュニケーション・ツール)として普及させる社会政策として位置づけ、実践していきます。
行政、企業、市民、教育機関など都市を形成する全ての分野において、日本語と同時に英語をコミュニケーション・ツールとして活用することを促します。具体的政策案は後述の通りです。都市の生活や企業活動の中で官民協力体制をつくり、相乗効果を高め、英語が通じる活力と魅力溢れる先進都市=横浜・神奈川を構築していきます。これが「横浜・神奈川バイリンガル都市構想」です。
横浜・神奈川を香港やシンガポールに負けないアジアの国際経済都市、そして日本を先導する国際交流都市に発展させるための英語第2公用語化によるバイリンガル都市構想という第2の開港が、今こそ求められています。
具体的な対策は
それでは、横浜・神奈川を「英語第2公用語推進特区」に位置づける際の具体的な対策・政策について列挙してみます。
1.行政の対応
- 市長の所信表明や行政幹部の政策説明など行政の対外発信の英語併記
- 行政窓口の受付、重要書類の英語併記
- 横浜・神奈川英語検定(横浜・神奈川の歴史、文化、経済、社会の基礎知識を英語で学び、その能力を判定する)の創設と普及
- 職員の英語対応研修と横浜・神奈川英語検定の取得
- 職員採用(一般職)における英語対応能力重視(英語検定の取得と成績)
- 市役所に英語対応推進室と推進委員会の創設(外部人材登用も)
- 留学生や横浜在住の外国人との交流促進
- 英語ビジネスパーク・英語テーマパークの指定・誘致
2.企業・団体の対応
- 企業活動におけるバイリンガル対応の努力義務
- 外国人雇用の努力義務
- 社員に対する英語対応研修、横浜・神奈川英語検定取得の努力義務
- 街頭広告、インターネット広告、レストランのメニュー、公共交通の案内表示などの英語併記の努力義務
- 観光関連産業の英語を含む多言語対応の努力義務
- 地元の新聞、TV、ラジオの英語報道と英語放送の努力義務
3.教育機関の対応、
- 保育園から専門学校まで、全ての教育関係機関においてネイティブによる指導の努力義務
- 中学、高校、大学での「英語での授業」の推進
- 中学生以上に横浜・神奈川英語検定取得の努力義務
- 市内の大学との連携で、バイリンガル人材養成
- バイリンガル対応企業への大学生のインターン制度の導入
- 英語教員のみならず、全ての教員の英語コミュニケーション研修の義務化
- 教育委員会による各公立学校へのネイティブ指導員の派遣、スマホアプリによる教材提供、リモート英語授業の提供
4.市民の対応
- 英語通訳、英語翻訳、英会話などでボランティアとして活動
- 横浜・神奈川英語検定の取得、スマホアプリやオンラインによる学習への参加
- 英語使用は、市民の義務ではないが、努力したい市民は行政や企業・団体からサポートを受ける権利を有する
推進特区条例をつくる
以上のような施策を具体的に規定し、「英語第2公用語推進特区条例」を制定し、政策を実行します。そのためにもまず、有識者、市民、経済界、行政の代表による「推進委員会」を組織し、条例案や対策について議論を重ねていくべきです。
国際化・グローバル化が進展し、IT化・デジタル化が急発展する現代社会において、国際共通言語となった英語を習得すること、活用することは、地域や国家が発展し成長するための絶対必要条件となってきています。日本が島国という地理的条件の中で安住し、その努力を怠ってしまえば、世界の発展から取り残されてしまうでしょう。
日本は幕末に開国し、その直後に横浜・神奈川が開港され、開港場は日本の英語ビジネスと英語教育の発祥の地となり、その発展が日本の近代化や文明開化を導きました。この素晴らしい歴史・文化、伝統を活かし、横浜・神奈川を英語の街として復興発展させ、成功事例をつくり上げ日本全体に広げていきましょう。
これこそが「英語第2公用語推進特区、横浜・神奈川バイリンガル都市構想」なのです。日本の国際化進展の新しいビジネスモデルであり、これが他の都市へそして全国に広がっていけば、日本の経済社会の成長戦略になると確信しています。