都の受動喫煙撲滅条例に期待・タバコ各社の抵抗は排除へ
<『STOP受動喫煙新聞』第20号(2017年10月)=発行「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」掲載>
公益社団法人受動喫煙撲滅機構理事
参議院議員
「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」幹事長 兼 事務局長
松沢成文
安倍総理が臨時国会冒頭で衆議院を解散したため、この臨時国会で審議される予定だった重要な法案がいくつも先延ばしにされてしまいました。受動喫煙防止対策強化のための法案もそのひとつです。
いまから1年ほど前には、厚生労働省から国際基準に近い「たたき台」が示され、今年の通常国会での法案提出、成立が期待されていました。世論調査でも国民の7割前後が、受動喫煙防止対策の強化を望んでいるとの結果が提示されました。しかし、閉会までにとうとう法案の提出にさえ至りませんでした。
臨時国会閉会で遅れ
やっと法案が提出、審議が行われると期待された臨時国会は、衆議院解散によりすぐに閉会となってしまいました。次は来年の通常国会での法案提出を目指すこととなるでしょう。
そうして国の対応が遅々として進まないうちに、東京都の小池知事、そして、その小池知事率いる都民ファーストの会が相次いで受動喫煙防止対策の強化案を打ち出しました。
二つの都条例案が
まず、都民ファーストの会と公明党が共同で、「東京都子どもを受動喫煙から守る条例(案)」を発表しました。この条例は、保護者や喫煙者に、子どもの受動喫煙防止の努力義務を定めるものです。9月20日に開会した東京都議会定例会に共同で提出、同会期内に成立する見込みです。
また、9月8日には東京都が、第2弾として、面積が30平方メートル以下のバー・スナックなどを除き、原則屋内禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例の基本的な考え方を公表しました。面積が30平方メートル以下のバー・スナックなどでは、従業員を使用しない店、又は全従業員が同意した店、かつ未成年者を立ち入らせない店については、利用者が選択できる掲示を義務付けた上で、喫煙禁止場所としないなど、厚労省案よりもさらに厳しい案となっています。こちらは2月の定例議会には提出されることでしょう。
加熱式を外そうとするタバコ会社
この東京都の受動喫煙防止条例案では、紙巻きタバコだけでなく、加熱式タバコもその対象に含まれています。最近ではJTなどタバコ会社は、受動喫煙防止対策の強化そのものに反対するのではなく、加熱式タバコをその対象から外すことを求める戦略に変化してきています。『「東京都子どもを受動喫煙から守る条例(案)の概要」についてのJT意見』というリリースにもはっきりと明記されています。当然、加熱式タバコを対象から外すようなことをしてしまえば、せっかく成立しても骨抜きです。小池知事にはここで踏ん張ってもらい、加熱式タバコも対象範囲とする実効性のある条例の制定を期待します。
小池知事のリーダーシップに期待
東京都で厳しい条例が制定されてしまえば、その直後に国会で審議される法案が、それよりも緩い(ゆるい)内容となることが認められるわけがありません。小池知事には強力なリーダーシップを発揮してもらい、実効性のある、国の法案審議の際の見本となるような条例を制定していただくよう期待します。
(2017年9月22日・記)