STOP受動喫煙新聞の創刊によせて
<『STOP受動喫煙新聞』創刊号(2011年9月)=発行「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」掲載>
公益社団法人受動喫煙撲滅機構理事
前神奈川県知事
筑波大学客員教授
松沢成文
他人のタバコの煙を吸わされて健康を害する。この受動喫煙の被害から県民を守るために、神奈川県は全国で初めて受動喫煙防止条例を制定しました。公共的施設は禁煙か完全分煙にする罰則付きの条例なので、飲食店、宿泊施設、娯楽施設などの利害関係者からは猛烈な反対がありました。県議会でも議論をつくし、三年がかりでようやく成立させました。
この条例が施行されて2年が経過しますが、去る5月に製薬会社ファイザーが、この条例について意識調査を実施しました。驚いたことに県民の87%が条例に賛成という高い支持をいただくことができました。他都道府県でも神奈川県のような条例を望む声が83%に達しました。条例に対する賛否は喫煙者でも59%が賛成。反対は喫煙者で41%、非喫煙者で2%でした。今後については、全体の86%が「現状維持もしくはより厳しい規制」を求めています。
私は、この調査結果に大変満足しています。大きな改革を実現する過程では、必ず抵抗勢力による反対があります。諦めずにそのハードルを乗り越えれば、必ず新しい社会を構築できるということを実感しました。
しかし勝負はこれからです。次なる目標はまず第1に、神奈川県の条例を来年の見直しでさらに進化させること。第2に、他の都道府県に条例制定を促し広げていくこと。第3に、国に受動喫煙防止のための法律を制定させることです。WHOの「タバコ規制枠組条約」に参加している我が日本は、法律をつくる義務があるのです。
「正義なき力は暴力であり、力なき正義は無力である」(パスカル)という名言があります。改革を成就するには大義と実行力が必要だということです。
私は、受動喫煙防止を推進する皆さんと連携協力して「スモークフリー社会」の実現に向けて精一杯の努力を重ねていく覚悟です。
今後ともよろしくお願い致します。