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No5「二宮尊徳の信奉者たち」~鈴木藤三郎~

二宮尊徳(金次郎)といえば、絣の着物にわらじ履き、泥にまみれて農村を救う姿が一般的です。しかし、明治の産業革命期に、この金次郎の精神をそのまま「工場」に持ち込み、背広姿で巨大産業を築き上げた男がいました。「日本製糖業の父」と呼ばれる鈴木藤三郎(1855-1913)です。

現代のビジネス書には「企業倫理」や「イノベーション」という言葉が溢れていますが、藤三郎は100年以上も前に、尊徳の教えを武器にこれらを実践し、世界と戦えるベンチャー企業を作り上げました。彼は、報徳思想が農業だけでなく、近代資本主義においても最強のOS(基盤)になることを証明した最初の人物と言えるでしょう。

静岡県遠州に生まれた藤三郎は、幼い頃から報徳思想を叩き込まれました。しかし、彼は単なる道徳家では終わりませんでした。「尊徳先生の教えが真理なら、商売や工業にも通じるはずだ」と考えたのです。

彼が目をつけたのは「氷砂糖」でした。当時、輸入品に頼っていた氷砂糖を国産化できれば国益になる。これぞ尊徳の言う「推譲(社会への還元)」であると決意し、私財を投じて研究に没頭しました。失敗の連続で家産を傾け、周囲からは狂人扱いされましたが、彼は諦めません。尊徳が荒地を耕す際に一鍬一鍬に魂を込めたように、藤三郎はフラスコと釜に向かい続けました。

ついに独自の精製法を発明し、後の「大日本製糖」へと繋がる成功を掴みます。彼のイノベーションの源泉は、西洋の科学技術だけでなく、泥臭いまでの「至誠」と「積小為大」の精神だったのです。

藤三郎の経営哲学は、現代で言う「パーパス経営」の先駆けです。彼は「二宮先生の教えは、油のようなものだ」と語りました。機械(経済)をスムーズに動かすためには、油(道徳)が不可欠である。油がなければ機械はすぐに焼き付いて壊れてしまう、と。

実際、利益追求だけの企業が淘汰されていく中で、彼の会社は多くの雇用を生み出し、日本の近代化を支えました。彼は、資本主義という冷徹なシステムの中に、尊徳の「温かい血」を流し込んだのです。

現代、私たちはシリコンバレー流の起業やDXに憧れます。しかし、鈴木藤三郎の生き方は、灯台下暗しの真実を教えてくれます。それは、「最先端のテクノロジー」と「泥臭い道徳心」は矛盾しないということです。むしろ、困難な変革を起こす時ほど、小手先のテクニックではなく、尊徳的な「何のためにやるのか」という強烈な軸が必要になります。

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