「オリンピック憲章に反するゴルフ場利用税」等に関する要望書をIOCのバッハ会長に送付しました
参議院文教科学委員会での質疑でも取り上げましたが、我が国のゴルフ場利用税及び国家公務員倫理規程が、オリンピック憲章に違反している現状について、現状を理解していただきたく、IOCのバッハ会長に英文レターを送りました。
また、JOCの森会長にも同様の書簡を送付しています。
(PDFをご参照下さい)
その要旨は以下の通りです。
ゴルフ場利用税とは、ゴルフ場の利用者に原則1人1日当たり標準税額800円が課せられる税金で、18歳未満と70歳以上の人や障害のある人を除いて課税されます。日本国内で親しまれるあらゆるスポーツの中でも課税されているのはゴルフだけです。さらに日本政府は、来年の東京五輪のゴルフ競技に参加する選手に対しては非課税にする方針を固めました。このままでは、日本のゴルフは、課税されるゴルフと課税されないその他のスポーツ、課税される一般のゴルファーと課税されない東京五輪のゴルフ選手、という二重の差別にさらされることになります。
また、日本では、国家公務員がその職務と利害関係を有する者と共にゴルフをすることを禁止する国家公務員倫理規程があります。利害関係者との通常の飲食については応分の負担をすれば禁止行為とならない一方、ゴルフはたとえ応分の負担をしたとしても禁止されているのです。スポーツの中でもゴルフだけにこうした差別的な取扱いをすることに合理的理由はありません。
この2つの差別は、明らかに オリンピック憲章 オリンピズムの根本原則 第4条の「スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。」とする規定 および 同 第6条の「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」とする規定の双方に抵触しています。
私はこれらの問題について、今日まで何度も国会で質問をし、ゴルフ場利用税の廃止については、安倍晋三内閣総理大臣までも私への答弁で廃止の検討を明言しました。しかし、一向に改革は進んでいません。また、国家公務員倫理規程についても、政府は同様に見直そうとしていません。さすがにこうした状況を見かねたのか、国際ゴルフ連盟(IGF)のピーター・ドーソン会長は、日本の萩生田光一文部科学大臣、高市早苗総務大臣及び橋本聖子東京オリンピック担当大臣に対し、ゴルフ場利用税及び国家公務員倫理規程の見直しを求める同趣旨の書簡を送っています。
2016年12月に、私が委員を務める日本ゴルフ改革会議(大宅映子議長)から貴殿へお送りした書簡により、霞ヶ関カンツリー倶楽部が正会員を男性に限定し、女性を差別している現状(当時)がオリンピック憲章の差別禁止規定に反していることを指摘し、IOCが改善を求めたことで、会員規則が変更され、差別は解消されました。しかしながら、来年の東京五輪の成功へ向けて解決しなければならない「差別問題」はまだ残っているのです。
東京五輪の成功のために、ゴルフ競技の発展に向けて良きレガシーをつくるためにも、日本のゴルフ場利用税及び国家公務員倫理規程がオリンピック憲章に違反し、ゴルフ競技に差別が存在する現状についてのご見識をぜひともお答えくださいますようお願い申し上げます。