No1「二宮尊徳の信奉者たち」~福沢諭吉~
かつて、日本人の財布の中にいる「壱万円札」としてお馴染みであった福沢諭吉と、小学校の校庭に立つ二宮尊徳(金次郎)。江戸と明治の時代を象徴するこの二人は、一見すると水と油のように見えます。
実際、文明開化を牽引した福沢諭吉は、当時政府が推奨した「二宮尊徳ブーム」に冷ややかでした。薪を背負って本を読む姿が、封建的な「滅私奉公」や従順さを強いる道徳教育の道具として使われることを、徹底した個人主義者である彼は警戒したのです。
しかし、表面的な対立を剥ぎ取れば、両者の根底には驚くほど太いパイプが通っています。それは「実学」と「独立」です。
尊徳は神頼みを排し、「入るを量りて出ずるを制す」という徹底したデータ主義で農村を救ったリアリストでした。一方の諭吉も『学問のすゝめ』で、役に立たない虚学を捨て実学(サイエンス)を修めよと説きました。フィールドこそ違えど、二人は共に「現実に即して、自らの手で運命を切り拓くこと」を何よりも尊んだのです。
特に現代に響くのは「独立」の精神です。福沢諭吉の「一身独立して一国独立す」という言葉は、国や政府にぶら下がるのではなく、個人の自立こそが国家を支えるという宣言です。
変化の激しい現代、尊徳的な「コツコツとした勤勉さ」だけでは生き残れません。かといって、権利ばかり主張する個人主義も社会を分断します。いま必要なのは、尊徳の持つ「誠実さと共同体への愛(ホットな心)」を、諭吉の持つ「批判的思考と自立心(クールな頭脳)」でアップデートすることです。
このように二宮尊徳と福沢諭吉の改革理念には「実学の重視」「教理による合理性」「独立心の尊重」という3つの共通項があるのです。
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