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フィリピンは熱かった!!

今年は、世界の安全保障が大きく揺れ動いた一年でした。ISの台頭と泥沼化するシリア情勢。ヨーロッパに押し寄せる難民。フランスやアメリカで起きたテロ。プーチン大統領の専制が目に余るロシア。

そして、アジアでも、中国が南沙諸島の岩礁を埋め立てて飛行場やビルをつくり、自国の領土であると宣言するなど、国際法を無視した主張を繰り広げています。私も、9月に成立した安全保障関連法案の審議のなかで、迫り来る南沙諸島危機にどう対応すべきなのか、政府の見解を質しました。

しかし、「百聞は一見にしかず」です。果たして現地はどのような状況なのか。私の信条である「現地現場主義」の血が騒ぎ、11月28日から12月2日にかけて、当事国の一つであるフィリピンに視察に出かけてきました。

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まず、初日に訪れたのが、ネグロス島南部にある「エネルギー開発会社」の地熱発電所です。ルソン島とミンダナオ島の間で、セブ島とレイテ島の近く位置するこの島には、なんと世界で最大の地熱発電があります。山の中腹から火山水蒸気が噴出し、いくつもの井戸や蒸気と熱水の分離施設、そして巨大なタービンを持つ発電施設などが点在する様子は圧巻。その発電の仕組みは、蒸気でタービンを回して発電し、分離された熱水はまた別の井戸で地中に戻し循環させ、温水の枯渇を防ぐというもので、まさに再生可能な自然エネルギーなのです。しかも、この発電施設が稼働しているのは1983年からだというから驚きです。

同社では、地熱のほかにも、水力、風力、太陽光という自然系エネルギーの発電を行っており、海底ケーブルで他の島にも電力を供給していまが、地熱発電は総電力供給の80%を占め1164MW。火山国フィリピンの特性を活かした素晴らしい事業だと思いました。

同じ火山国で温泉資源に恵まれている日本ですが、なかなか地熱発電が進みません。温泉権や国立公園などの厳しい開発規制が問題なのでしょうが、そろそろ本気で取り組むべきでしょう。

ところでこの会社は、在日フィリピン大使のロペス氏が率いるロペス財団の所有。今回の視察もロペス大使に仲介いただきました。有意義な視察ができたことに心より感謝申し上げます。日本の技術は世界一だとうぬぼれていてはダメです。他国から学ぶべき技術や開発は意外に多いということを改めて学ぶことができました。

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翌日は、ゴミ集積場パヤタスを訪れました。このマニラ郊外にあるゴミの山には約20万人が暮らし、多くの人々がゴミを漁って生活しています。貴金属やプラスチックを探して換金してのその日暮らし。日本からは想像できない世界があります。ここで日本のNGO「ICAN」が教育、職業訓練、公衆衛生、医療の支援活動を展開。活動拠点も見学しました。地域住民も日本の支援に感謝してくれて嬉しい限りです。増え続けるゴミ問題に対応するには、焼却施設を整備が不可欠ですが、ここでも日本の出番があります。最先端の焼却技術を輸出し、ODAを有効に使うしかありません。フィリピンとの友好関係を深めるためにも必要でしょう。

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三日目は、いよいよ本題。フィリピンのアズクエッタ国防次官とガルシア外務次官に相次いで会談して、南シナ海問題、日比関係の課題、そしてTPPへの参加などについて議論しました。詳細をご紹介することはできませんが、南シナ海での中国の侵略は、フィリピンのみならず日本にとってもシーレーンの航行の自由を守るために、絶対に阻止しなければならない、まさに死活問題であることを再確認しました。日米比の連携と協力が不可欠です。

また、人材の海外派遣に積極的なフィリピンは、看護師や介護士のみならず家政婦の受け入れを望んでいるとのことでした。日本は特区での受け入れを拡大すべきでしょう。TPPへのフィリピンの参加は、日本が支援することを約束しました。

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またこの日は、日本からの政府開発援助ODAの現場、マニラ中央部を流れるパッシブ川の河川改良工事も見学しました。台風や大雨で洪水被害のでる河川の堤防工事と浚渫を3期に分けて円借款で実施。マリコンの東洋建設とゼネコンの清水建設が請け負っています。生活排水も汚水も垂れ流し汚染河川の川べりには、スラムもあれば大統領宮殿もあります。この貧富の差は、日本からは想像できません。現地で働く日本人社員の皆さんと船上で意見交換できました。

フィリピンには日本が支援できる社会基盤整備事業が山ほどあります。上下水道、発電送電、河川港湾、道路鉄道。中でも有力なのは地下鉄でしょう。マニラ市内の道路は車があふれ、慢性渋滞。バスやジプニーと呼ばれるタクシーも超満員。排気ガスで目が痛くなります。一刻も早く地下鉄を整備しないと都市がパンクしてしまいます。ようやく検討が始まったようですが、今こそ日本の出番です!

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フィリピン視察最終日は、マニラにあるアジア開発銀行ADBを訪問しました。アジア太平洋地域の発展途上国の開発事業への金融支援を目的にするADBは、半世紀近くにわたって低金利で社会基盤整備から教育、環境に至るまで幅広い分野で開発支援を実施してきました。最近注目を集めているのは、強力なライバルが出現したからです。日米主導のADBに対抗して、中国がアジアインフラ投資銀行AIIBを設立し、あっという間に50ヶ国近い参加国を集めてしまったのです。日本の長谷川理事、そしてアメリカのオア大使と会談し、実態と展望を伺いました。中国と牽制し合うのではなく、協調融資も模索すべきである。環境保護や人材育成、そして民主主義の進展につながる融資が求められる。との見解でした。ここでもADBの中尾総裁をはじめとする日本のリーダーシップが問われています。

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今回、初めてフィリピンを訪問しましたが、戦争の歴史があるにもかかわらず、人々は明るく親日的で、熱いエネルギーを感じることもできました。ちなみに訪問中のフィリピンの気温は30度。心も体も熱くなる、充実した視察となりました。

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