書評『うひ山ぶみ』
松沢成文が、次世代の党の機関誌「ネクスト」で書評の連載を
を開始して好評を博しております。
4月号掲載分を転載しますので、ぜひご一読ください。
=========================
今回は、日本史を代表する碩学の一人、
本居宣長の『うひ山ぶみ』をご紹介いたします。
「うひ」は「初」、「山ぶみ」は「山踏み」
つまり登山のことで、『うひ山ぶみ』は、宣長が、
これから学問という頂上なき峻峰を志す初学者に
贈った”登山ガイド”です。
主として国学の研究目的と方法について
述べられており、それはそれで大変面白いのですが、
私が好きなのはコツコツと努力していくことの
大切さを説いた冒頭部分です。宣長はこう言います。
<初学者は、どの勉強方法がいい、あの方法が
いいと詮索しがちだが、実はそんなことは
重要ではないんだ。
「ただ年月長く倦うまずおこたらずして、
はげみつとむるぞ肝要」なんだよ。
才のない人も晩学の人も、頑張れば思いのほか
成果があるものだ。だから、止めてはいけない。
「とてもかくても、つとめだにすれば、
出来るものと心得べし」。>
「学問に王道なし」とはよく言われますが、
35年も刻苦勉励し、畢生の大作『古事記伝』を
完成させた宣長の言葉だけに重みが違い、
「もう少し頑張ってみようかな」という気持ちに
なれるのです。
新入生や新社会人に贈りたい一冊です。
※次世代の党機関誌「ネクストvol.002」掲載