3月10日 WHOダグラス・ベッチャー博士 講演会詳細
3月10 日、私が幹事長を務める
「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」主催で、
WHO生活習慣病予防局長 ダグラス・ベッチャー博士によるご講演を頂きました。
ベッチャー博士は世界のタバコ業界から「反たばこ十字軍」の一人と称され、
タバコ問題に熱心に取り組んでいる先生です。
テーマは
「受動喫煙のない都市でのオリンピック開催―世界の人々の命を守るためのリーダーシップを―」。
「毎年約600万人の命がタバコ被害によって失われている」
毎年約600万人の命がタバコ被害によって失われているとも言われています。
その内の約60万人は受動喫煙が原因。
ベッチャー博士はこの受動喫煙の被害を、Harmfulではなく、Deadlyと捉えています。
つまり、受動喫煙の被害は「有害」ではなく、「死に至るくらいの有害性」。
特に、受動喫煙被害による死亡者の約28万人が成人女性、約17万人が子ども達です。
仮にこのトレンドが続いた場合、20世紀のタバコ被害にかかわる死者の数は1億人程度だったものが、
21世紀には10億人に達するというWHOの試算もあります。
「日本のFCTC履行状況は『遅行』している」
ベッチャー博士は、「タバコは決して安全な消費財ではない」とし、
タバコ使用を減らすための責任と活動のスケールアップ対策を各国が緊急に取り組むべきだと述べています。
その具体的な取り組みがWHOタバコ規制枠組み条約(FCTC)。もちろん、日本も加盟しています。
FCTCはタバコ需要・供給側の両者から規制をする内容ですが、
ベッチャー博士は日本の国際法履行状況を「遅行している」とし、
一刻も早い100%スモークフリーの規制を求めています。
反対勢力であるJTに対しては
「たばこの広告、販売、促進活動の禁止などによって抑え込むことが必要」と述べています。
「世界人口の半分はタバコの害から保護される」
中国は世界ナンバーワン規模のタバコ産業を有していますが、
オリンピックを期にたばこ対策が推し進められています。
例えば、2015年6月1日から北京で施行される禁煙法は抜け穴や例外がなく、
罰則付きの100%スモークフリーの法律。
これは、国家リーダーの強力な指導力の賜物です。
来夏発行予定の報告書では中国13億人が加わり、
「世界人口の半分はたばこの害から保護される」と博士は述べています。
「2020年に向けて、今、動き出すとき」
2014年ソチ五輪開催地のソチでは開催の約4年前からたばこ対策に取り組んでいました。
2010年には「タバコのないソチ憲章」が打ち出され、
屋内禁煙と公園・ビーチでの決められた場所での喫煙許可が実現。
この結果、試合会場内の85%の人達がこの取り組みに賛同し、
喫煙者の65%が五輪後に禁煙への意志を示しました。
ロシアはソチ五輪を上手く活用し、現在ロシア全土で100%スモークフリーを達成しています。
「2020年東京五輪の約4年前というと、日本はもう今、動き出すときだ」
とベッチャー博士は述べています。
最後にベッチャー博士からは、
「WHOとIOCはスモークフリーオリンピックの実現に関する協定を結んでいることから、
これまでのホスト国はたばこ対策に取り組んでいます。
日本も東京オリンピック・パラリンピックまでに環境や法的整備が整うように願っています」
との言葉を頂きました。