書評『フランス革命の省察』
次世代の党の機関誌がリニューアルし、「ネクスト」として生まれ変わりました。
松沢も同誌上で皆さまにお勧めの書籍をご紹介する連載コーナーを
担当いたします。記念すべき第1号では、『フランス革命の省察』を取り上げ
ました。本HPにも転載しますので、ぜひご一読ください。
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幹事長の松沢成文です。今回から私のお勧めする本を
皆さんにご紹介するコーナーが始まりました。
記念すべき第1回は、次世代の党らしく、保守主義の
バイブルといわれる名著『フランス革命の省察』を
選びました。
著者のエドマンド・バークは18世紀に活躍した
イギリスの政治家・思想家です。
本書でバークはフランス革命を痛烈に批判していますが、
だからといってバークが頑迷な反動主義者というわけ
ではありません。むしろ名誉革命やアメリカ独立革命を
評価するなど自由主義的な思想の持ち主でした。
そのバークがフランス革命を批判したのは、
それが理性を絶対視し、理性のみに基づいて社会の
抜本改革を行おうとしたからです。
社会というものは、各国固有の文化や風土のもと、
長年にわたって蓄積された人間の知恵と経験=伝統に
よって複雑に構築された有機体であると考えるバークに
とって、頭のなかの空理空論で、あたかも機械の部品を
交換するように社会変革を試みるフランス革命は
危険極まりないものでした。
そして、才気走った知性のみで突っ走る革命の行く末は
血塗られたものになると予言したのです。
本書が出版されたのは革命が勃発した翌年の1790年
でしたが、その予言のとおり、革命はギロチンによる
粛清の嵐を経て、ナポレオンの帝政によって終焉を
迎えます。
本書のなかでも特に有名なバークの思想が、現代を
生きる人々が享有している過去の社会の財産は先祖から
相続したものであり、私たちにはこの過去からの貴重な
宝物をいっそう望ましいものにしたうえで次世代へと
受け継がせる義務があるという考え方です。
私も本書をめくる度に、政治家としてより良い社会を
つくり上げ、次世代へと譲り渡す責務があることを
胸に刻んでいます。
保守主義を語るうえでは避けて通ることのできない
一冊です。ぜひご一読ください。
※次世代の党機関誌「ネクストvol.001」掲載