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No.9 【二宮尊徳のCSR経営】「天地人、三才の徳に報いる」に学ぶ、企業の社会的責任

二宮尊徳の思想の最終的な帰結点が「報徳」です。これは自社の成功を支える全てのステークホルダーへの貢献を通じて、社会全体を発展させようという、壮大な「CSR(企業の社会的責任)」経営の哲学です。

尊徳は、人間が豊かに生きていけるのは「天地人、三才の徳」のおかげであると説きます。

「人が世の中に生きていけるのは、すべて天・地・人の三つのオの徳によるものだ。だからその徳に報いることが、人道の極致である。(中略)徳に報いるという心のない者は、鳥獣である。(中略)人もまた、徳に報いる心がなければ、終生安息することはできない」(『二宮先生語録』斎藤高行著より)

これを現代経営に置き換えると、天の徳(市場環境)、地の徳(社会インフラ・環境)、人の徳(従業員・顧客など)となります。企業はこれら広範なステークホルダーに支えられており、その恩恵に報いる「社会的責任」の理念がなければ、持続的な成長は望めないのです。

では、なぜ「報徳」が重要なのか。尊徳は、報徳の精神を欠く者は自ら幸福を捨てているのと同じだと説きます。

「徳に報いることを知らない者は、将来の繁栄ばかり願って、その根本を捨てているから、自然に幸福を失うことになる。よく徳に報いる者は(中略)今日ただいまの丹精を心がけるから、自然と幸福を受けて、富貴がその身を離れない」(『二宮翁夜話』福住正兄著より)

これは「短期的な利益追求」と「長期的なステークホルダー経営」の対比です。目先の利益ばかりを追い求め、自社を支える社会(根本)への貢献を怠れば、企業はやがて基盤を失います。一方、日々の事業を通じてステークホルダーに誠実に向き合う企業は、自然と信頼を得て、持続的な繁栄を享受できるのです。

尊徳の「報徳」の実践方法は、現代のCSR経営そのものです。すなわち、ガバナンスを確立し(節度を立て)、効率的な経営を行い(勤倹を守り)、得た利益を社会に還元し(分外の財を譲り)、具体的な社会貢献活動を行う(貧窮を恵むなど)ことでした。

尊徳の思想は、企業が単なる利益追求集団ではなく、社会の公器として、全てのステークホルダーへの感謝と貢献を本源的な使命とすべきであるという、時代を超えた普遍的な経営哲学なのです。

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