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No39【二宮尊徳の国家経営論】「義をもって利とする」に学ぶ、持続可能な成長戦略

企業の究極の目的は、利益(利)の追求でしょうか、それとも社会貢献(義)でしょうか。この永遠の問いに対し、二宮尊徳は「義をもって利とする」、すなわち、倫理的な正しさ(義)を追求することこそが、結果として最大の利益(利)を生むという、明快な答えを提示します。この思想は、昭和の名経営者・土光敏夫にも受け継がれ、現代のサステナビリティ経営の核心を突いています。

尊徳は以下のように、目先の利益を追求することの危険性と、大義を追求することの重要性を説きます。

「世人が普通利益と考えていることは、実は真の利益でない。真の利は、利でないところに存する」

「義をもって利とするのが、明王が民を恵む道であり、利をもって利とするのは暗君が民を虐げるやりかたである」(『二宮先生語録』斎藤高行著より)

これは、現代経営における「短期的な利益至上主義」と「パーパス経営」の対立です。目先の利益だけを追求すれば、それは過当競争や不正行為に繋がり、長期的には企業の価値を損ないます。一方で、社会を豊かにするという大義(義)を掲げれば、顧客や従業員からの共感と支持を得て、結果として持続的な利益がもたらされるのです。

この「義をもって利とする」精神を、戦後の日本で最も力強く実践したのが、「ミスター合理化」「行革の鬼」として知られる故土光敏夫氏でした。彼は、尊徳の教えを「極めて科学的であり、経済の論理にかなうもの」と高く評価し、自らの経営哲学の根幹に据えました。

特に土光は、尊徳が「重税が農民の勤労意欲を奪っていることを認識され、大幅な減税によって働く意欲をかきたて、農村を復興させた」という点に、財政再建の要諦を見出しました。これは、増税ではなく、まず行政改革(分度)によって財源を生み出し、それを成長戦略に投資するという手法です。

土光は、報徳博物館の開館記念式典で、当時の日本の財政赤字を憂い、「尊徳先生の教えを政府も国民も本当にもっと勉強していたら、こんなことになるはずはないのであります」と嘆きました。彼の言葉は、現代にもそのまま通じます。借金が借金を呼ぶ財政構造、場当たり的な政策決定。その本質は、尊徳の時代も現代も変わりません。財政再建の王道は、「分度を守る」、すなわち、収入の範囲内で支出をコントロールするという、尊徳が説いた基本原則に立ち返ること以外にないのです。

尊徳と土光の教えは、真のリーダーシップとは、目先の利益や人気取りに走るのではなく、国家や組織の百年先を見据え、時には痛みを伴う改革(義)を断行し、それによって持続的な繁栄(利)をもたらすものである。このように、リーダーのあり方そのものを、私たちに厳しく問いかけています。

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