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『STOP受動喫煙新聞』第52号(’25年10月発行)掲載 改正健康増進法の改善に向けて 5年目の適切な検討をどう進めるべきか・進められるか?

=発行・「公益社団法人 受動喫煙撲滅機構」=

https://www.tabaco-manner.jp/

公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事

前神奈川県知事・参議院議員

「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」幹事長 兼 事務局長

松沢 成文

2020年4月に全面施行された「改正健康増進法」(以下「改正法」)は、多くの公共施設や飲食店で屋内禁煙を原則とし、全国的に受動喫煙防止を大幅に前進させました。そして、この改正法の全面施行から、今年で5年が経ちました。この法律は、〝5年の経過後、内容を検討し、必要な追加措置を講じる〟と、つまり「5年後に再検討し、必要な再改正をする」ということに、成立時に決められています。しかし、今年もあとわずかですが、目立った動きはないままです。

私はかねてより、「受動喫煙は、最大の生活環境リスクの一つである」と訴え、国民の健康を守るために法的規制の強化を主張してまいりました。その成果として一定の前進はありましたが、施行から5年を迎えた今、なお多くの課題が残されていることを痛感しています。

法自体があまり知られず、徹底されない

まず、第一の課題は、改正法の周知自体が不足していることです。喫煙室の設置基準、喫煙可能であることの表示義務、20歳未満の立ち入り禁止といった新制度が作られましたが、それらの国民の認知度は十分とはいえず、特に一般、非喫煙者でも「知らなかった」という声が多く、飲食店や施設での、法を知らないことからの(悪意のない)違反も多くあります。制度があっても、実効性を伴わなければ受動喫煙防止は達成できません。私は国会質問においても、政府に対し「制度を広く周知するための啓発活動の強化」を繰り返し求めてまいりました。

法が曖昧で違反が放置

第二に、飲食店など小規模事業者への対応にバラツキがあることです。改正法では「経過措置」として、小規模で改正法施行以前から営業する飲食店は今も店内喫煙が許されているため、「喫煙可能店」が多く残存しています。また、本連載でも取り上げてきたように(44号~48号)、禁煙にしなければならない新規店でも、脱法的に「喫煙目的施設(喫煙目的店)」との名目で、しかしその喫煙営業の条件となる「主食となるものを出さない」「タバコの対面販売をする」などを満たさず、普通の飲食店が喫煙営業する違反が多発しています。しかしそれを自治体・保健所が取り締まろうにも、そもそもの法の要件が曖昧なために、注意・指導に動けない(それを理由に動こうとしない)自治体が多いことが指摘されています。そのため、地域や自治体によって違反の取り締まり・受動喫煙防止の徹底度合いに差が出ており、国民が均一に健康を守られる環境が整っているとは言えないのです。

法の施行に不可欠な、ていねいな対応を

私は神奈川県知事だった時代に、日本で初めての罰則付き屋内規制である「神奈川県受動喫煙防止条例」を制定(2010年施行)し、国に先駆けて全面禁煙の流れを作りました。条例制定の際には、事業者との丁寧な対話を重ね、理解と協力を得ながら制度を根付かせていきました。

国レベルの法制度でも、同様のきめ細やかな対応が必要だと思えます。

路上喫煙対策の遅れ

次に、屋外での喫煙問題があげられます。屋内禁煙が進んでいる一方で、飲食店の外や路上での喫煙があり、通行人や近隣住民とのトラブルが多発しています。私はかつて「路上喫煙禁止条例」を横浜や川崎などの都市で進めるよう提言してきましたが、今や全国的に屋外での受動喫煙対策も強化する段階に来ています。

FCTCに反し諸外国から遅れ

そして、国際水準との乖離(かいり)です。日本も批准するWHO「タバコ規制枠組条約(FCTC)」では「屋内完全禁煙」が求められていますが、日本の改正法では「禁煙店」であっても、店内に喫煙専用室や加熱式タバコ専用飲食室の設置を認めています。

私は国会審議において「日本の規制は世界の最低水準にとどまっている」と指摘し、国際基準に近づけるよう強く求めてきました。

違反防止への態勢も問題

さらに、実効性確保の面でも問題があります。違反があっても、まず指導、次いで命令や公表、最後に過料という段階を踏むため、現場では対応が後手に回ることが少なくありません。監視体制も各自治体の任意で、違反の発見も住民の通報に依存しているのが現状です。

私は、国としてもっと積極的に違反防止に取り組む仕組みを整えるべきだと考えています。

就業場所の被害が見過ごされている

また、従業者への健康影響も看過できません。改正法ではオフィス内は禁煙とされましたが、喫煙室の設置は許容されているためそこからの受動喫煙がありえますし、前述の喫煙可能店では完全に逃げ場がありません。また、喫煙室や屋外喫煙所を清掃する労働者にとってはそこも職場であり、深刻な受動喫煙・健康リスクが報告されています。国民のみならず、職場で働く全ての人々を守ることも法制度の責務です。

改善の要点

私はこれまで、神奈川県での条例制定、そして参議院での質疑を通じて、受動喫煙防止を一貫して訴えてきました。今後の改善に向けては、

①普及啓発の強化

②屋外喫煙規制の整備

③自治体格差の是正

④国際水準に合わせた規制強化

⑤従業者保護の徹底

が必要です。

健康はすべての国民の権利であり、受動喫煙防止はその出発点です。5年目の検証を機に、より実効性ある制度に発展させるため、私は今後も全力で取り組んでまいります。

(’25年9月5日記)

’25年4月4日、参議院「消費者問題に関する特別委員会」で質疑を行う筆者

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