松沢成文オフィシャルサイト

松沢成文オフィシャルサイト

文字サイズ

お問い合わせはこちら

No.10 【二宮尊徳の経営真髄】「人道の根本は譲道」に学ぶ、企業の永続と繁栄の法則

二宮尊徳の思想の真髄、それが「推譲(すいじょう)」です。これは単なる精神論ではなく、個人と組織、社会が持続的に発展するための、極めて戦略的な経営哲学です。

尊徳は、自然界の法則(天道)と人間社会の法則(人道)を明確に区別し、「人道」の根本が「譲道」にあると説きます。

「鳥獣は(中略)取れるだけのものをはばかりなく取って、譲るということを知らない。(中略)人道というものは天道とは違って、譲道によって立つものだ。譲とは、今年のものを来年に譲り、親が子のために譲ることからできた道だ。(中略)これが人類と畜類の区別なのだ」(『二宮翁夜話』福住正兄著より)

これは、短期的な利益を追求する本能(天道)と、長期的な視点で未来に投資する理性(人道)の対比です。目先の利益を独占しようとするのは鳥獣と同じ道であり、人間社会、そして企業が永続するためには、「譲る」という行為、すなわち「利益の再投資」が不可欠なのです。

尊徳はさらに、この「譲道」が我々の日常に深く根付いていることを説きます。

「人はこれと違って、今日のものを明日に譲り、今年のものを来年に譲り、そのうえ子孫に譲り、他人に譲る道がある。(中略)これは世間で人々が知らずしらず行っていることで、これでもちゃんと譲道なのだ」(『二宮翁夜話』福住正兄著より)

尊徳の言う「推譲」とは、具体的には以下の二つです。

自譲:得た利益を自社の将来のために再投資すること(研究開発、人材育成など)。

他譲:余剰の利益を社会やコミュニティに還元すること(社会貢献活動など)。

これは、現代経営における「内部留保の戦略的活用」と「CSR(企業の社会的責任)」そのものです。尊徳の説く「倹約」とは、将来より大きな価値を生むための、賢明な資源配分なのです。

尊徳は「推譲」の精神を、人間の手の構造にも見出します。自分のために取るだけでなく、他人のために押す(推す)道がある、と。これは、企業が持つべき二つの使命、すなわち「自社のための価値獲得」と「社会のための価値提供」を見事に言い表しています。

利益を上げなければ企業は存続できませんが、社会への貢献を忘れれば存在意義を失います。この二つのバランスを取ることこそが、企業のあるべき姿なのです。

尊徳の「推譲」の教えは、企業が短期的な利益追求の本能を乗り越え、自社の成長と社会貢献を両立させることが、永続的な繁栄への唯一の道であるという、不変の真理を示しています。

二宮尊徳(金次郎)について知りたい方、学びたい方は拙書「教養として知っておきたい二宮尊徳」(PHP新書)をAmazon(https://amzn.asia/d/dOAge1d)でご購読ください。お陰様で第10版のロングセラーとなり好評発売中です。

#松沢成文 #歴史 #二宮尊徳 #神奈川

カテゴリ
バックナンバー

MOVIE

松沢しげふみチャンネル

松沢しげふみチャンネル

プライバシーポリシー | サイトマップ

TOP

  • 松沢しげふみ 国会事務所

    〒100-8962
    東京都千代田区永田町2-1-1
    参議院議員会館903号室
    TEL:03-6550-0903
    FAX:03-6551-0903
    Googleマップ

  • 松沢しげふみ 横浜事務所

    〒231-0048
    横浜市中区蓬莱町2-4-5
    関内DOMONビル6階
    TEL:045-594-6991
    FAX:045-594-6992
    Googleマップ

松沢成文