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No.2【二宮尊徳の組織論】 衰退した組織の再生は「心田開発」から

 二宮尊徳が行った改革の本質は、物理的な荒れ地の開墾だけではありません。彼は、あらゆる問題の根源は「人の心」にあると考え、組織や社会を再生させるには、まず人の心を耕す「心田開発」から始めるべきだとしました。

 尊徳は以下のように、世の中には様々な「荒れ地」が存在すると説いています。

「私の生涯の仕事は、すべて荒蕪を開くのを務めとしてきた。(中略)田畑の荒れ、借財、利益なき粗田、(中略)身体壮健なのに遊情に日をおくる者、資産もありながら驕奢にふける者がある。(中略)これら数種の荒蕪は、その元は心田の荒蕪から発するものだから、わが道は、まず心田の荒蕪を開くのを先務としなければならぬ」(『二宮翁夜話』福住正兄著より)

 これは現代組織が抱える問題、すなわち①放置されたプロジェクト、②過剰な負債、③低収益事業、④意欲の低い社員、⑤未来への投資の怠りと重なります。尊徳は、これらの問題の根本原因は「心田の荒蕪」、つまり組織の理念が形骸化し、社員のエンゲージメントが低下した状態にあると見抜いていたのです。

 この根本的な問題を解決するため、尊徳が最も重視したのが「心田開発」です。彼は再び以下のように述べました。

「私の本願は、人々の心の田の荒蕪を開拓して、天から授かった善い種、すなわち仁義礼智というものを培養し(中略)国家に善種をまき広めることにあるのだ。(中略)一人の心の荒蕪が開けたなら、土地の荒蕪は何万町歩あろうと心配することはない。(中略)そなたの兄一人の心の開拓ができただけで、一村がすみやかに一新したではないか」(『二宮翁夜話』福住正兄著より)

 これは現代経営における「理念の浸透」に他なりません。組織が目指すべき共通の価値観を全社員で共有し、育むことの重要性を示唆しています。さらに、たった一人のキーパーソンの意識変革が、組織全体を動かす起爆剤になり得るとまで説いています。

 尊徳が疲弊した桜町領の再建で最も力を注いだのも、農民一人ひとりの「自立」、すなわち現場の当事者意識を育むことでした。困難な状況に疲弊した人々の心を再生させ、内側から湧き上がるボトムアップのエネルギーを引き出すこと。これこそが、あらゆる組織改革を成功に導く要諦であることを、尊徳の教えは示しています

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