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『STOP受動喫煙新聞』第50号(’25年4月発行)掲載 受動喫煙の健康被害を否定する〝国の子会社〟JT! 政府の責任を追及しました

公益社団法人 受動喫煙撲滅機構 理事

参議院議員・前神奈川県知事

「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」幹事長 兼 事務局長

松沢 成文

(構成:『STOP受動喫煙新聞』編集局)

 =当機構理事=松沢成文議員、再度、国会で受動喫煙問題を追及

[『STOP受動喫煙新聞』編集局より]

松沢成文議員、再度、国会で受動喫煙問題を追及 =当機構理事=

神奈川県知事だった2009年、全国初の罰則付き屋内喫煙規制の条例を、様々な妨害に打ち勝ち成立させ、その後は国会の場で受動喫煙・タバコ問題の追及を続ける、当機構理事・松沢成文参議院議員。

昨年12月の参議院予算委員会ではあらゆるタバコ問題を追及しましたが、その冒頭での石破首相自身の喫煙の答弁に場内爆笑となったため、そのことだけが各マスコミで報道されました。

しかしそれに続いての数々の重要なタバコ問題の質疑は全く報道されなかったので、本紙ではそれらも全て前49号で紹介しました。

そして本年3月、同委員会で、軍事関連の質問に続いて、タバコ問題、特に国の〝子会社〟JTが受動喫煙の健康被害を認めていないという事実を追及しましたが、前回の笑いのような記事としてウケる場面がなく、マスコミにとって一大広告主のタバコ会社を批難する内容だったので、前回同様、後半の質疑は報道されなかったようです。

そこで今回も、理事の寄稿文に、委員会の議事録(要旨)を挟んだ構成で報告します。

※48号『脱法的営業が常態化する「喫煙目的店」』の国への質問(’24年6月)の政府回答は、今後掲載の予定です。

去る’25年3月7日、参議院予算委員会において、私(松沢)は、石破総理ら関係閣僚へ受動喫煙問題について質しました。

受動喫煙の健康影響は世界の共通認識

喫煙者自身の「能動喫煙」だけでなく、他者への「受動喫煙」が健康に与える影響も、世界的に認められており、特に肺がんとの因果関係については、WHO(世界保健機関)が発効する国際条約・FCTC(タバコ規制枠組条約)を通じて、各国で「共通認識」として確立されています。これは日本でも、「国立がん研究センター」などが、受動喫煙が肺がんリスクを高めることを明確に認めています。

健康被害を否定し続けるJT

しかしながら、「日本たばこ産業株式会社(JT)」だけが、受動喫煙の健康影響については、「科学的に説得力のある形で結論付けられていない」と表明、その立場を崩していません。「特殊法人(会社)」の位置づけで国が抱えているタバコ会社がこのような誤った見解を広め続けているこの問題について、政府はどのように対応するのか、追及しました。

厚労省は認識?

まず、福岡(たか)麿(まろ)・厚労大臣に対し、厚労省の見解を確認しました。すると、厚労省は、2016(平成28)年の「喫煙と健康の影響に関する検討会」の報告書で、受動喫煙と肺がん・(きょ)血性(けつせい)心疾患・脳卒中等の疾病との因果関係について、「科学的証拠が十分である」と評価しており、現在もその認識を維持している、と答弁しました。

=以下、タバコ問題の全質疑応答(掲載用に趣旨を変えず一部修正)=

松沢成文(以下「松沢」) 最後に、恒例のタバコ問題に移ります。

まず、タバコ問題で私が問題と思うのは、やはり、「受動喫煙」が健康に影響あること、特に肺がんとの関係です。これは、しっかりと認められているんです、世界中で。

ところが、日本のJTだけが、それを認めていないという、変な状況なのですね。

まず、WHOは認めています。その(もと)の条約FCTC=タバコ規制枠組条約では、喫煙だけじゃなく、「受動喫煙」も、健康被害があるから、世界各国でしっかり対応していきましょう、ということで、当然、肺がんとの因果関係も認めているんです。

国立がん研究センターも、当然その肺がんリスクは確実だと、厚労省の(もと)のがんセンターも言っているんです。

そこでまず聞きます。厚労省は、この受動喫煙と肺がんの関係、これは確実だという方向で、よろしいんですね、厚労省の認識は。厚生労働大臣・福岡資麿 お尋ねにつきましては、平成28年に厚生労働省において開催いたしました「喫煙と健康の影響に関する検討会の報告書」において、受動喫煙と肺がん、虚血性心疾患、脳卒中等の疾病との関係については、「科学的証拠は因果関係を推定するのに十分である」と評価してございまして、厚生労働省としても現在もそのような認識を持ってございます。

受動喫煙の健康被害への「認識」を示す福岡資麿・厚労大臣=参議院サイトの動画より(字幕は自動)=

財務省も健康被害を認めるが……

松沢 厚労省は、その因果関係はあると、十分にあるということですね。

さあ、今度はタバコ行政を管轄する財務省です。政府は「特殊会社」としてJTも抱えていますが、まず、タバコ行政を管轄する財務省として、受動喫煙の疾病リスク、特に肺がんとの関係はどのように認識されていますか。

財務大臣・加藤勝信(以下「財務大臣」) 今、厚労大臣からご答弁がありましたように、厚労省が開催した検討会の報告書において、受動喫煙と肺がん等の疾病との関係については、科学的証拠は因果関係を推定するのに十分であると評価をされており、財務省としては、そのような認識を持っております。

JTへの指導は否定

しかし、肝心の、JTに対して、具体的な指導を行う考えについては、次の総理への質問時に、財務大臣が総理に代わって否定しました。

松沢 総理ね、厚労省も財務省も、受動喫煙と肺がん、因果関係があると言っているんです。

それが、資料も見ていただきたいんですが、政府の特殊会社であるJTは、「科学的に説得力のある形で結論付けられていないもの」と認識している。「受動喫煙と肺がんの関係が確実になったと結論付けるのは困難である」としている。

JTは、政府の特殊会社、政府が指導監督権限を持っていて、政府が筆頭株主ですよ。この会社がこういうことを言い続けていて、よいのでしょうか?

受動喫煙と肺がんの因果関係は、フィリップ・モリスもBAT=ブリティッシュ・アメリカン・タバコも、みんな認めているんですよ。認めていないのはJTだけですよ。

この問題、特殊会社なのだから、厚労省も財務省も因果関係を認めているわけだから、政府としてしっかりと指導すべきではないかと。いかがですか総理。それぐらいやりましょうよ。

財務大臣 まず、JTを含む「特殊法人」は、法律により直接に設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされている法人で、通常の行政機関とは異なるものであります。

一般の内閣であれば、それぞれ意見が違うと統一見解を求められるわけでありますけれども、その経営に当たってはできる限りの自主性と弾力性を認めるべきものと考えておりますので、見解が異なることをもって直ちに問題とすべきかは、慎重に検討する必要があると思っています。

ただ他方、「たばこ事業法令」において、令和元年以降も受動喫煙のリスクについての注意義務、注意表示を義務付けております。仮に注意表示義務違反など、「たばこ事業法令」の違反行為があればこれは問題でありますが、JTはこれまでこうした法令には適正に従い、遵守してきているものと承知をしています。

JTへの指導を否定する加藤勝信・財務大臣

FCTCから脱退の可能性

次に、JTが政府の特殊会社であるにもかかわらず、受動喫煙と肺がんの因果関係を認めない姿勢を、石破総理に対し問い質しました。

JTは政府が筆頭株主であり、他の大手タバコ会社(「フィリップ・モリス」「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ」など)は因果関係を認めている中で、JTの対応は極めて異常です。

この状況を放置すれば、日本は批准しているFCTCから、脱退せざるを得なくなる可能性もあると指摘しました。

これに対し、石破総理は、FCTCからの脱退を否定したうえで、〝JTには、「タバコの煙は周りの人も肺がんなどになる危険性も高める」という表示を義務付けており〟〝受動喫煙に対する被害の低減、喫煙者に対する注意喚起は、十分に行なっている〟との認識を示しつつ、私からの指摘を踏まえ、受動喫煙による被害がなくなるよう、さらに政府としても努力していくことを表明しました。

松沢 総理、日本は、WHOのFCTCに、タバコ規制枠組条約に入っている、批准しているんです。この条約の目的は、受動喫煙の健康被害から、皆さんの健康を守るということです。その対策をしなきゃいけない。当然そこには肺がんやほかの病気との因果関係があるから、こういう条約を作っているんですね。

もし、政府の特殊会社であるJTが、その因果関係はないと言い続けるのであれば、日本はFCTCから脱退しなきゃいけなくなりますよ。どうですか。

もう全然興味ないみたいですね。

財務大臣 タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約、今おっしゃったFCTCに関しては、我が国は平成16年3月に署名し、翌17年2月、これが発効しているところであります。

財務省としては、このFCTCの批准に向け、タバコ包装に記載する健康リスク等に関する注意表示を、明瞭で読みやすいものにするよう、関連規定を改正したほか、FCTCの批准後も、注意表示の表示面積を30%以上から50%に拡大する旨の省令改正を行うなど、対応するとともに、先ほど申し上げましたように、JTにおいてもその法令に従って、それを遵守しているというふうに認識をしております。

内閣総理大臣・石破茂 我が国がFCTCを締結しておるということ自体が、タバコ対策の取組および保健分野の国際協力に関する、我が国の積極的な姿勢を示す、ということに直結するものだと思っております。

ここから脱退なんぞいたしますと、本当に日本はそういうようなことについて関心がないのだということになります。 いま財務大臣からお答えいたしましたように、これは、タバコの煙は周りの人も肺がんなどになる危険性も高めますというふうな表示を義務付けておるわけでございまして、我が国として、あるいはJTとして、これが有害、そういうことに結び付くということ、そしてその注意喚起、受動喫煙に対する被害の低減、あるいは喫煙者に対する義務、注意義務の喚起というものは十分に行なっておると承知をいたしておりますが、なお松沢委員からこういうご指摘をいただいておりますので、受動喫煙というものがなくなるように、さらに政府といたしても努力をしてまいりたいと思います。

FCTC脱退を否定する石破総理

再度JTの民営化、社長の参考人招致を言及

さらに、昨年12月の本委員会に続き、再度、JTの完全民営化の必要性についても言及しました。政府が筆頭株主である限り、行政の公正性が問われ続けることになります。また、健康被害の問題だけでなく、「たばこ税」のあり方についても、抜本的な見直しが求められます。

松沢 タバコ好きの喫煙者である総理が、受動喫煙対策にもしっかりと取り組んでいるという姿勢を見せるのは、すごいアピールになると思いますよ。

財務大臣、JTにもしっかりと言ってください。こんなタバコ会社、世界でJTだけですからね。日本の恥ですよ、これ。

さあ、最後に、こういうJT、問題だらけです。健康のアピールや、あるいは「たばこ税」の問題もあります。私は、JTの完全民営化も言っています。

それで、委員会のほうに、ぜひともJTの社長を、この参考人として呼んでほしいと。今回は合意になりませんでしたが、今後も予算委員会で、この問題だらけのJTの社長をここに呼んで、しっかりと質問をして、国民に理解をしてもらいたいと思いますので、どうか委員長、取り計らいをよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

予算委員長・鶴保庸介 後刻、理事会にて協議をいたします。

問題は続く

最後に、今回もJTの社長を参考人として委員会に招致することを求めましたが、またもや合意に至りませんでした。

この問題は今後も追及し、国民の皆さまへ受動喫煙による健康被害の実態を明らかにするとともに、受動喫煙対策を強化させ、国民の健康を守るための政策を推進していきます。

’25年3月7日・参議院予算委員会で首相らに質問する筆者(右)

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